英進館では、小学1~3年生、小学4~6年生(公立クラス)の国語の授業において、音読を重視します。
ここでは授業内で「今月の名文」の時間を設け、古代から現代にわたり口ずさまれ親しまれている優れた文章・名調子の文章を紹介します。
学年 | タイトル |
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小1 | 鼻(芥川龍之介)、新古今和歌集より三首 |
小2 | 論語(孔子)、坊っちゃん(夏目漱石) |
小3 | 土佐日記(紀貫之)、淮南子(塞翁馬) |
小4 | 寿限夢、荒城の月(土居晩翠) |
小5 | 伊豆の踊子(川端康成)、野なかの薔薇(ゲーテ) |
小6 | 吾輩は猫である(夏目漱石)、路傍の石(山本有三) |
名文に胸ふるわせ、脳を活性化させ、「集中力」を身につける。
日本語の持つ美しい「リズム」を身につけ、正しい「言葉の感覚」を得る。
人前で大きな声ではっきりと発音できる、「話す力と「自信」を身につける。
後から花開く美しい言葉の宝石を身につけ「教養の奥行きの深さ」を培う。
国語力は全ての学習活動に必要とされるものであり、学力の最も基本となっているものです。
国語力の低下は、他の教科の理解力低下にも直接つながります。
国語力とは突き詰めれば、他人の言葉が理解でき、自分の言葉で表現できることに他なりません。
国語力はどのように身についていくものでしょうか。
まず、乳児期の親からの豊かな「語りかけ」と親子の「コミュニケーション」から始まり、幼児期の「読み聞かせ」、学齢期の「音読・暗唱」練習や「読書習慣」などで国語力の基礎が培われます。
近年、読み聞かせを繰り返すことの大切さが一般にも広く理解されています。
しかし、それ以上に「音読・暗唱」は国語力をつけるのに効果的であり必要不可欠なものです。
音読に親しめば言語に対する感受性が高まり、国語力の向上につながります。
音読の重要性が理解されてきたのは、ごく最近です。齋藤孝氏著「声に出して読みたい日本語」は超ベストセラーとなり、影響を与えました。それまでは、音読・暗唱の反復練習は、考える力につながらない昔の学習法と見なされて、ずいぶん軽視されてきました。しかし、十分な音読教育がされてこなかった、それこそが今日の国語力低下の主要な原因の一つになったと考えられます。
事実、音読がまともにできないのは小学生だけではありません。中学生、高校生でも決して少なくないのが現状です。音読が苦手なら、本や雑誌、新聞さえも一切読まない大人になってしまうでしょう。音読すらまともにできなくて、国語力が身につくことはあり得ません。
勉強が苦手な子供や落ち着きのない子供でも、大きな声で堂々と流暢に音読できるようになると、自信が芽生え、精神的にも安定していきます。
音読に力を入れて取り組むと、授業や人の話がよく聞けるようになります。「読める」「できる」という音読への自信は、自ら話をする力や読書力、書く力にもつながっていきます。
しっかり音読すれば、頭と体が活性化して、元気になります。これは、「元気だから声が出るのでなく、しっかり声を出すから元気になる」という感覚です。音読で声を出し、口を動かすことは、唾液の分泌を促し、胃腸にもよいそうです。音読を続ければ肺活量も増大して、より健康になるといった効果もあるようです。
音読がレベルアップして表情豊かで美しい声が出るようになれば、表現力のある魅力ある人物にもなることができます。歴史的に見ても、読み・書き・計算、とりわけ音読・暗唱を重視している国や民族から創造性あふれる優れた人物が多数育っています。
ノーベル賞受賞者の3分の1がユダヤ人であるといわれていますが、ユダヤ民族の教育の中心は幼児のときから膨大なユダヤ教の経典を徹底して音読・暗唱させることで知られています。
また、フランスでは古典の詩歌を厳しく暗唱させています。それが、美しいフランス語を大切にする風土をつくっています。
ドイツのかつての幼児教育では50もの民話を暗記させ、自分で「お話」できるようにしていました。
イギリスで最も繁栄したエリザベス女王の時代の教育は、ラテン語の文章の音読・暗唱を中心にした教育で、優秀な人物や英雄が多数育ったといいます。
日本でも、明治の頃に個性あふれる英雄・偉人たちが多数出ましたが、これは江戸時代後期の寺子屋や藩校で盛んに行われた論語などの漢文の素読・暗唱の教育の成果であると考えられます。戦後日本で初めてノーベル賞を受賞した湯川秀樹博士も、幼少期から四書五経の素読で育っています。
現代でも、「意味も分からずに丸暗記させても本当の学力にならない」と非難された逆境の中で、名文・詩文、百人一首などの音読・暗唱に力を入れてきた先生がいます。10年以上たって、多くの難関大学に入学した大学生たちを含む教え子たちから一番感謝されたのが、小学校時代のこれらの暗唱であったといいます。
多くの国々では、古典などの名文が学校教育の中で音読・暗唱され、国民共通の文化になっています。
日本でもようやく名文、古典などの素読や暗唱、朗読などの教育の重要性が理解されてきたことは歓迎すべきことです。
当館では、暗唱(音読)を、毎回の国語の授業にも取り入れて奨励しています。名文・名調子の音読・暗唱によってお子様の脳にしみこんでいく語彙・文脈の数々は、いわば「脳に埋められた宝石」です。
優れた日本語の感性を育て、集中力・思考力を練る、真の教養を培う土壌として、お子様の生涯の財産となることでしょう。
保護者の皆様におかれましても、家事をしながらでも、子供の音読を聞いて、ぜひ、ほめたり励ましたりしてください。
保護者の皆さんに音読を聞いてもらうと、子供の音読の上達はまるで違ってきます。よろしくお願いいたします。