vocabulary
vocabulary「語彙」という語は中高生の綴りのミスが多い語です。
vとb、lとrは全く別の音なのですが、日本語の感覚からすると同じような音に聞こえてしまいます。なので、vとb、lとrが全部登場するこの語は、これらが別の音だと認識できるようになるまでは綴りをおぼえにくいのでしょう。
そこで、vocabularyという綴りをおぼえるために、この語の成り立ちを考えてみましょう。
vocabularyの成り立ち
vocという語幹はラテン語の「呼ぶ(call)」の意の語に由来します。
同源の語はたくさんあります。以下に挙げてみましょう。
- vocabulary「呼ぶための言葉全体」→「語彙」
- voice「呼ぶためのもの」→「声」
- vocal「呼びかけの」→「声の、音声の;ヴォーカル」
- advocate「呼びかける人」→「主張者、唱道者」
- vocation「神から呼ばれた」→「職業、天職、使命」
- (ちなみにcallingにも「職業、天職(profession)」という意味がありますが、これも文字通り「神から呼ばれてその仕事をしている」といった意味ですね。)
以上をふまえると、「ボキャブラリ」は *boc- ではなく voc- で始まることがわかります。
また、*vocaburalyではなくvocabularyであることについては、vocabularyがvocable「発声できる」という語の派生形であることを考えれば納得がいくかもしれません。singleの派生形にsingularがあるのと同じようなパターンです。したがってrではなくlが先です。
さらに、「不可算名詞には -ryで終わるものがある」ということが分かっていれば、語末が-ryであることも間違えにくくなります。例えばmachineやsceneは可算名詞ですが、machineryやsceneryは不可算名詞です。vocabularyも不可算名詞なので-ryで終わる。
以上の話がいくらかでも頭の片隅に残っていれば、vocabularyときちんと綴ることができるのではないでしょうか。やはり単語の成り立ちを考えながら情報を増やして語彙を身につけるということは大切です。
...ただし。本来は、vとb、lとrは区別して発音できるように、聞き分けられるようにならなければなりません。英語では全く別の音です。また、綴りが面倒な語は「繰り返し書いておぼえる」という地道な努力も必要です。