綴りの不統一
英語の学習で面倒なのは、「綴りがあまり規則的でない」ということです。
たとえば、語源が同じでも、品詞が変わると接頭辞が変わる場合があります。
fortune「幸運」の対義語はmisfortune「不運」です。
ところが、形容詞になると、fortunate「幸運な」の対義語はunfortunate「不運な」です。
とはいえ、日本語でも「未」「無」「不」「非」などというように、否定を表す接頭辞はいろいろあって、どの接頭辞がつくかは語によって決まっています。
たとえば「無感情」とは言っても「非感情」「不感情」とは言いませんし、「非公開」や「未公開」とは言っても「無公開」「不公開」とは言いません。そう考えると、英語だけが面倒なわけではありません。
以下、類例を挙げておきましょう。
- ・please「喜ばせる」の対義語はdisplease「不機嫌にする」。
・pleasant「愉快な」の対義語はunpleasant「不愉快な」。 - ・comfort「快適」の対義語はdiscomfort「不快」。
・comfortable「快適な」の対義語はuncomfortable「不愉快な」。 - ・able「できる」の対義語はunable「できない」。
・ability「能力、できること」の対義語はinability「無能力、できないこと」。
また、動詞形のenableの対義語はdisableです。
こうして並べてみると、形容詞にはunがつく場合が多いということがわかります。傾向を把握しながらも、その都度頭に入れていくことが大切です。
それから、品詞が変わると綴りが微妙に変わる場合もあります。スペルミスしないよう注意が必要です。
たとえばcurious「好奇心の強い」の名詞形はcuriosity「好奇心」であり、ousのuが脱落します。
pronounce「発音する」の名詞形はpronunciation「発音」であり、こちらはoが脱落します。
これらはどちらも、「発音上の要請で綴りが変わっている」と考えてよいでしょう。したがって、ちゃんと発音しながら単語をおぼえる習慣があれば特に問題ないはずです。
発音からは判断できない場合もあり
ただ、語によっては、発音からは判断できない場合があります。
たとえばessence「本質」の形容詞形はessential「本質的な」であり、ceが tialに変わっています。*essencialではありません。こうした例はいくつもあります。
- ・influence「影響する」の形容詞形はinfluential「影響力のある」。
- ・difference「差異」の形容詞形はdifferential「差異に基づく」。
- ・existence「存在」の形容詞形はexistential「存在に関する;実存的な」。
- ・reference「参照」の形容詞形はreferential「参照の」。
さらに面倒なことに、逆にtがcialになる場合があります。
benefit「利益」の形容詞形はbeneficial「有益な」であって、*benefitialではありません。
変化しないものもあり
ただし、もちろん変化しないものもあります。
potentは「〈薬が〉よく効く」の意の形容詞ですが、potential「可能性のある、潜在的な」はそのままialがついています。
face「顔」とfacial「顔の」、finance「金融」とfinancial「金融上の」、commerce「商業」とcommercial「商業上の」あたりも、cのまま変化しません。
また、spirit「精神」の形容詞形はspiritual「精神の」なので、また違った語尾になっています。
以上、実際のところやはり面倒は面倒ですね。「これは注意しないと危ない」というように、自分で気づいて注意を払えるようになりましょう。
とりあえず大学入試レベルでは、essence・essential、benefit・beneficialはきわめて重要です。