高校入試情報 / 鹿児島県の公立高校
2025年度入試 鹿児島県公立入試 結果総評
2025-09-05更新
令和7年度の鹿児島県公立高等学校(全日制および定時制)の最終出願者数は、推薦・帰国子女枠を除いた学力検査定員10,474人に対し、8,507人となりました。募集定員は昨年度68人の減少に続き、今年度も51人減少し、総計11,725人と年々減少傾向であり少子化の影響が顕著に表れています。平均倍率は0.81倍で、昨年度の0.84倍からさらに減少し、15年連続で定員割れとなっています。学区別では、鹿児島学区が1.04倍と唯一定員を上回り、その他6学区はすべて1倍を割る状況です。
一方で、鹿児島学区内を高校別にみると、鶴丸高校1.38倍(前年1.28倍)、甲南高校1.34倍(前年1.43倍)、鹿児島中央高校1.55倍(前年1.51倍)となり、トップ3校はいずれも高倍率を維持しています。特に鶴丸高校と鹿児島中央高校は前年より倍率が上昇し、甲南高校も例年通りの高い競争率を示しました。
また、令和7年度入試からは推薦入試の選抜方法が変更されました。自己の特徴や長所をより発揮できる高校への出願を促すため、「学校推薦」に加えて「自己推薦」による受験が可能となりました。ただし、推薦入試の募集枠は普通科で10%以内、専門学科30%以内に制限されており、自己推薦の導入による影響は大きくなかったと考えられます。
上記の倍率推移からも分かるように、鹿児島のトップ3校(鶴丸・甲南・中央)や鹿児島玉龍高校を中心とする主要な公立高校普通科の実際の倍率は、県全体の学区別倍率と大きく異なり、鹿児島地区の公立高校普通科入試は依然として「狭き門」といえます。この高倍率を認識し、公立高校入試に向けて早い段階から計画的に対策をとることが重要です。
また、鹿児島県教育委員会では毎年、公立高校の全受検者の得点を集計し、各教科の平均点を公表しています。入試は各教科90点満点で実施されますが、中学校の履修内容だけでなく、小学レベルの基礎力で得点できる「目安点」が各教科18点(総得点450点中の90点分)含まれているのが特徴です。次の表は、過去の全受検者の平均点をまとめたものです。
学習指導要領の改訂に伴い、入試問題の傾向(論述問題の増加など)や難易度には大きな変化がありましたが、近年は平均点が240点前後で推移しており、横ばいの状況が続いています。
下の表から年度別に比較すると、平均点の推移に大きな変化は見られません。しかし、鹿児島県全体の受験生において、総得点360点以上の割合(6.54%)は減少傾向にあり、100点未満の割合は横ばいで推移しています。このことから、上位層が高得点を取りにくくなっていると考えられます。特に今年は数学・英語の平均点が下がったことを踏まえると、両教科で点差がついた可能性が高く、苦手教科を抱えたままでは不利になることが予想されます。したがって、苦手教科の克服が合否を左右する重要なポイントとなり、場合によっては「たった1問」が合否を決めることもあり得ます。5教科目の中で苦手意識がある教科・単元は早めに克服するようにしましょう。
さらに、下の資料(論述問題の割合)に示されているように、「論述問題」・「作図問題」の比重は高まっており、「会話型の問題」「文章記述問題」「公式の証明」などへの対応力も求められています。そのためには、「問題文や資料を読み取る→考える→自分の言葉で表現する」、「計算過程を文章で説明する」といった練習が欠かせません。
中学3年生は、これらの点を踏まえて鹿児島県の過去問演習だけでなく、他県の公立高入試問題や入試本番同様の形式で行う模擬試験にも取り組み、多くの実戦経験を積んでおく必要があります。