大谷翔平選手のスピーチ
2026年1月24日、大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手が、全米野球記者協会が主催する夕食会に出席して、MVP受賞などについて謝意を伝えるスピーチを英語で行いました。
このスピーチは、日本でもニュースとして広く取りあげられました。
YouTubeやニュースサイトなど、ウェブ上にもこのスピーチの動画が多くアップされていますので、ぜひ聞いてみてください。
スピーチの最後の部分は、次のような感謝の言葉で締めくくられていました。
> Lastly my family in Japan. And most importantly to my loving wife Mamiko, and my daughter, and Decoy, for making my life whole. I appreciate you always being there for me. Thank you.
ただ、いろいろな報道や動画の和訳を見てみましたが、見た限り、特定の箇所の和訳が間違っています。次はその一例です。
> 最後に、日本の家族へ。そして何よりも、私の人生を充実させてくれた、愛する妻真美子、娘、そしてデコイへ。いつも私のそばにいてくれて、本当にありがとう。
さて、どの部分の和訳が間違っているか、分かりますか?
間違っているのは、my loving wife Mamikoの部分です。
報道では、この部分は「愛する妻真美子」とか「最愛の妻真美子」などと訳されていました。しかし、これは間違いです。
英語では、たとえばsurpriseは「…を驚かせる」、amuseは「…を面白がらせる」の意で、どちらも他動詞です。
- a surprising actor:驚くべき役者(←観客を驚かせる)
- a surprised actor:驚いている役者(←役者が驚かされている)
- with an amusing look:変な顔で(←ほかの人を面白がらせる)
- with an amused look:面白がっている顔で(←面白がらせられている)
これと同じで、lovingは「…を愛するような」の意です。
つまり、my loving wifeは「妻が愛している」のであって、「妻を愛している」のではありません。「私が愛する妻」なら、my beloved wifeです。
my loving wifeは、「私の愛情深い妻、やさしい妻」などと訳さなければいけません。
この場合、lovingはaffectionateの意です。辞書でlovingを引いてみてください。ちゃんと載っています。
このように、英語では能動か受動かという区別が非常に重要です。
なぜこんなに間違いが多かったのかはよく分かりませんが、AIの自動翻訳をそのまま使ってしまったのかもしれないですね。また、内容上は違和感がないので間違いに気づきにくいという事情もあると思います。
いずれにしても、「能動か受動かを考える」、「ちゃんと辞書を引く」という姿勢は本当に大切です。



