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中高一貫部 英語コラム
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比較の相対性
中学英語で「比較」という文法単元を学習する際には、good -- better -- bestとか、wise -- wiser -- wisestとかいうように、「原級─比較級─最上級」という活用をおぼえることになります。
こうした比較変化はもちろんしっかりおぼえていかなければならないのですが、ただ、比較を理解するために忘れてはいけないのは、これは決して「原級<比較級<最上級」というように程度が大きくなることを示しているわけではないということです。
ということで、今回は、「比較表現はあくまで相対的なものであって、絶対的な程度を示すわけではない」という話題です。
次のような例から考えておきましょう。
例1
一般的な文脈では、He is old.と言えば、「彼」はもうかなりの年輩で、年齢で言うと60代かそれ以上であろうといった印象を受けます。
しかし、He is older than me.と言う場合、He is old.であるとは限りません。「私」が5歳で「彼」が6歳という場合でも、He is older than me.と言えるからです。
同様に、He is oldest of us.と言う場合も、「彼」は「私たち小学生の中では最上級生で一番年上」という場合もあるわけで、この場合もHe is old.とは言えません。
このことから分かるように、決して「原級<比較級<最上級」ではないのです。
例2
比較級や最上級と同様に、原級比較もあくまで相対的なものです。
たとえば、He is as wise as...という文は、「彼は...と同じくらい賢い」と訳したくなります。しかし、本来as wise asという原級比較自体には、He is wise.という意味は含まれていないのです。
この話をするときに自分が授業でいつも挙げる例は次のようなものです。
(1) He is as wise as Einstein.
(2) He is as wise as a monkey.
上の例文は、「彼はアインシュタインと同じくらい賢い」と訳して問題ありません。He is wise.という意味を強調して述べた文だと言ってよいでしょう。
一方、下の例文は、「彼はサルと同じくらい賢い」というよりは、「彼はサルと同じくらいしか賢くない」→「彼の頭はサル並みだ」ということであり、He is wise.というよりは、He is not wise.という意味を強調して述べた文なのです。
まとめ
まとめると、次のようになります。
・比較表現はあくまで「比べてみた場合にどうか」を述べただけであり、相対的なものにすぎない。絶対的な程度は、比較対象や文脈次第である。
・したがって、「原級<比較級<最上級」ではない。