英進館 天神本館
中高一貫部 英語コラム

英進館 天神本館
中高一貫部
英語コラム

英語コラム


passion

passionという語は、たいていの人は「情熱」という意味でおぼえているのではないか思います。形容詞はpassionateで「情熱的な」。もちろん入試レベルではそれで事足りることも多いのですが、せっかくなのでもうちょっと詳しく見てみましょう。

passionはラテン語やギリシア語のsufferingの意の語に由来します。したがって「苦しむ、被る」というイメージが根幹にあります。ここから、「被る」→「強い感情にとらわれる」→「情熱」というように意味がつながっているわけです。

しかし、passionにはこの「情熱」の意だけでなく、もっと直接的に「被る」→「受難」という意味があります。the Passionと書けば、それはキリストが十字架にかけられたという受難を意味するのです。2004年にはキリストの受難をテーマにした『パッション』(原題The Passion of the Christ)というアメリカ映画が公開されて議論を呼びました。

passion「受難」の意は、形容詞のpassive「受動的な」と同源と考えればわかりやすいでしょう。

パッションフルーツ

ところで、ゼリーやジュースに用いるパッションフルーツ passion fruitという果物があります。ブラジル原産で、日本では沖縄で栽培されています。黄色い鮮烈な色の果汁がいかにも南国風であり、なんとなく「熱帯の情熱(passion)」というイメージからパッションフルーツと名付けられたのでは...というふうに考えてしまいますが、実際は全くそうではありません。

パッションフルーツの花は雌しべが3つに裂けており、これを上から見るとTやYの字のような形になっています。これが(見ようによっては)十字架のように見え、そこからキリストの受難を思い起こさせるということでパッションフルーツと名付けられたのです。

パッションフルーツの花を日本語ではトケイソウと言いますが、これも雌しべが時計の針のように見えることから名付けられたものです。特徴的な雌しべから日本人は時計をイメージし、西洋人はキリストの十字架をイメージしたわけですね。

ということで、今回はpassionという語の解説でした。最後にいくつか用例を挙げておきます。

burst into a passion of tears(わっと泣き出す)

the St. Matthew Passion(「マタイ受難曲」)(バッハのものが有名)